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VANワンダーランド3年 ⑦……驚きの事業計画

販売応援が終わると、所属するID(情報室)のO課長から二つのことを聞かされた。一つは、“人事から社員研修に行くメンバーとして君が指名されたが断っておいたからな”ということであり、もう一つが“君に担当して欲しい仕事を決めた”ということだった。

社員研修について先輩に訊ねると“地獄の特訓”と言われている合宿研修で、二人で向き合い互いに自己批判を強要したり、徹底的に頭ごなしに否定し合ったりしてゲシュタルト崩壊させ、会社や上司への忠誠心を刷り込んでいくというもの。逃走を図る者が出るほどエゲツナイ研修で、問題ありと判定された社員が送り込まれるものらしく、O課長は「そんな研修に行けと言ったら、あいつはきっと即退職する。そんなことはできない」と断ってくれたようだった。楽しい仕事ができそうな予感がしていただけに、辞めることにならなくてよかったと思った。

O課長から担当を依頼された仕事は二つ。いずれも楽しそうなものだった。予感は的中したようだった。

一つ目は“IDニュース”という取引先の専門店を対象とした月次レポート。毎朝行われる切り抜きのファイルから抜粋した記事を集めて掲載するパート、協力専門店50社へのアンケート調査結果のパート、注目の話題を取材・分析した特集、の3つのパートからなるモノクロ片面印刷50ページ程度のもの。

二つ目が“VAN MANUAL”という季刊の企業広報誌。ライフスタイルトレンド特集、定点観測フォト特集、ディスプレイ講座、署名原稿ページ、専門店便り、等で構成される24ページ4色の小冊子だった。

朝の新聞・雑誌の切り抜き、デイリーニュースの制作・配布、社内報の制作、新聞での企業広告というルーティンの共同作業に加え専任の仕事が決まり、うれしくてたまらなかった。

しかし一方、会社の行く末への心配は募っていた。また、自分の仕事の楽しさが増すにつれ、派遣社員として販売の現場に立ち続けている同期の社員の現状が気になってならなかった。

まず何をすべきかと考え、最初に思い付いたのが常務営業本部長への取材だった。起業広報誌の担当になったことをフル活用しようと思ったのだった。

早速アポイントの電話を入れた。あっさりとOKで、「今すぐでもいいぞ」とのこと。すっ飛んで行き、次のようなやり取りをした。

「今年の売り上げ目標がまだ発表されていませんが、差し支えなければ……」

「実は今調整中なんだよ。積み上げたら800億という数字になったもんだからさ」

「800億!?」

「そうなんだよ。去年、全国の営業に“自分の担当店舗と担当エリアの次年度の売上予測をしろ”って指令を出して、集まってきた数字を集計したら800億超えたんだよ。営業の予測だから尊重しなくちゃいけないんだけど、いくらなんでも強気すぎないかってことで、“もう一度計算し直せ”って集めたんだけど、また800億なんだよ。ウチにはそれだけのパワーがあるとは思うんだけど、無理しなくても達成できるラインで決めようかと……」

「年商800億っていうと、今のVANの規模の会社を1年でもう1社作るようなもんですもんねえ」

「いや、だからさあ、600億くらいがいいとこなんじゃないの?」

…………

首を捻りながら自分の席に戻った。イカン、本当に倒産まっしぐらになるかもしれないぞと思い、同期のみんながやたらと心配になってきていた。仕事はそんなに忙しくもないので、百貨店や月販店(丸井など)の店頭を回って販売の現状を見つつ、みんなの話や要望を聞いてみよう、と決めていた。

Photo

今日はKapparお出かけの日。午後2時過ぎから午後7時頃まで二人っきり。何か求めるような佐助の眼差しが……オヤツだな……

         Kakky(柿本)

“1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―”は、NO.28をもって終了しました

「告知」:番外編として連載中だった、タイトル「風に揺れる蛹」も、終了しました。次作は、8月7日(月)に連載開始です。

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