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VANワンダーランド3年 ③…粉飾?決算

記憶に頼った内容なので詳細は多少異なるかもしれないが、VAN入社年度(1975年度)の前々年(73年度)の年商が320億円。前年(74年度)は400億円だった。それだけを見れば順調な業績推移なのだが、問題は経常利益。73年度35億円だった経常利益が74年度は3億円余りに落ち込んでいる。73年度の経常利益率は10%を超えていたのに、74年度は1%にも満たない。80億円の売上増には相当な無理があったのではないかと思われた。

そこで72年度の年商も調べてみた。200億円だった。印象として、順調に伸びてきた売上も400億円あたりがとりあえずの天井なのかな、と思った。それにしても、経常利益の落ち込み方は異常だ。何が原因だったのか、調べてみようと思った。73年度、74年度の貸借対照表を机に並べて見比べた。すぐに差が見えたのは、三つの項目。一つは在庫、一つは物流経費、そしてもう一つが賞与だった。

最も異常な数値を見せていたのは在庫(金額は残念ながら覚えていない)。資産の部に入っていたのだが、課長に詳細を訊ねると、「下代評価になってるからなあ」と苦い表情が返ってきた。下代(VANから店への売値)で評価されていることに問題ありと考え、親しくなった業界紙の記者に在庫評価に関する業界の常識について聞いてみた。答えはこうだった。「その年の在庫が翌年も同じ値段で売れるとは普通考えませんね。トレンド変化の激しいレディス業界では、評価を設定した下代の10%にしている会社もありますよ。売れ残った商品はゴミだ、なんて極端なことを言う経営者もいますからねえ。メンズはそこまで激しいトレンド変化はないとはいえ、どうでしょう、6掛けとか半掛けに評価を下げて、評価損をその年度に処理してしまうのが普通なんじゃないですか?」VANの決算の欠陥を知っているかのような口ぶりだった。

これは大変だ!と思った。在庫の評価損を考慮に入れると、前年度の決算は3億円強の黒字から一転、数十億円の赤字へと転落。内部留保は少ないので、急坂を転げ落ちるどころか、一歩間違えると崖から落ちるようにすぐ倒産してしまうかもしれない。と思った。

しかし、そんな財務のいい加減さはファッション業界で急成長できた個性の影の部分。今後改善できないというものでもない。事実、課長は影の大きさに気付いているようだし、他にも影を問題視している人は多いはずだ。希望はある。自由な発想を大切にし、やりたいことは何でもやりなさいと表明している石津社長の存在も大きい。それに、会社すなわちブランドとしてのポテンシャリティは、メンズ業界においては抜きん出ている。無理のない計画を着実に実行していく側面を持てば、業績回復はむしろ容易いのではないか。ヤバい会社に入ってしまったのかもしれないぞ。と、思った。しかし、とはいえ、楽しい仕事と理解ある先輩や上司に恵まれている状況は捨て難い。とも、思った。

若さの持つ気楽さもあって、ファッション音痴のくせに、既にVANという会社が気に入っていた僕は、むしろ“会社を立て直す小さな力になる”という目標ができたことに、喜びさえ感じていた。

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おそらく、佐助が一番好きなもの。それが、“ヨーグルトねしねし容器”。毎朝、この容器の内側に大スプーン1杯のヨーグルトを“ねしり付け”てあげているものだ。我々の朝ごはんの最後に、我々が食べたヨーグルトの器を丁寧に舐め終わると、この“ヨーグルトねしねし容器”に、佐助はありつける。「誰にも手を出させないもんね」と両手(?)で抱え込み、愛おしむように舐める佐助を見ていると、僕たちは朝からほんわかとした気分になれるのだ。愛おしいものは大切にしないとね。

           Kakky(柿本)

“1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―”は、NO.28をもって終了しました

「告知」:番外編として連載中だった、タイトル「風に揺れる蛹」も、終了しました。次作は、7月末からになる予定です。

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