何か匂いが違うぞ?
先週木曜日、私的な食事会に出かけた。行き先は品川。約束の時間は午前11時半。新宿から山手線に乗った。混んでいる列車を一本やり過ごすと、幸いにも座ることができた。渋谷に着くと、春休み中とはいえ平日とあって、車内にはビジネスパーソンが相当数乗り込んできた。目の前の吊革で展開される出張の話、同僚の転職の話、趣味の海釣りの話を、聞くともなしに聞きながら品川まで。
品川に着くと、広い構内を多くの新幹線利用の観光客も行き交っている。人の流れを避け、改札を出た。駅を出ると春の日差しが明るい。
目的の店を目指して歩道橋を下りる。が、途端に方向音痴丸出し。ぐるぐると20分以上もうろつくことになってしまった。
「何か、匂いが違うぞ」
やむをえずガードレールにもたれながら店に電話をしている時、ふと思った。春の匂いだけではない何かを感じたのだ。
午後4時、佐助の迎えを受けて家に帰ってからもずっと、品川で感じた“何か”の正体について考えた。
昨日、“ナナじいちゃん弁当”が完成した後も、“何か”が気になっていた。そして今日、少しわかってきたような気がしているところだ。
Kakky(柿本)
*“1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―”の連載を始めています。No.23アップしました。
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