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障害基礎年金がもたらすもの

障害基礎年金を支給されることが決定し、ほっとすると同時に、おそらく同様の立場の人が感じるであろう複雑な思いも、すぐに湧き上がってきた。

山陰、島根県出身の僕は、純朴にたくましく生きている多くの老人たちを見てきた。過分な欲を持たない、自立する精神に触れてきた。多くの人は年金を貰うことさえ潔しとせず、「お国に迷惑をかけるようになって‥」と、どこか申し訳なさそうだった。生活費に使うのではなく、人の役に立てることに使おうとせっせと貯金し、地域のお祭りの時などは、周囲が押し返そうとするのに抗って、人一倍寄付するおばあちゃんを目撃したこともある。

その頑固な姿が、少年の僕にはたのもしく映ると同時に、かわいらしくも思えた。誇らしげに帰路に着くおばあちゃんの後姿を、僕はまだ憶えている。

僕はというと、生活の基本を失い、これで生活費が助かる、などと無邪気に喜んでいる。この違いはなんだ。これまでやってきたことは、一体なんだったんだろう。そして、これから一体何ができるというのだろう‥‥。薄暮に感じる安堵感とはかなさ‥‥。

背負ってたものがすっと軽くなるといささか虚しく、また何か背負わねばと思う貧乏性。あるいは、“男たれ!”と育てられてきた後遺症。‥‥。しかし、‥‥。

楽になったことを素直に喜べなくなって数時間、僕は思った。

「違う回路を見つけようね」というのは、こういうことなんだ。

真屋順子さんのご主人高津住男さんが脳出血の後遺症に悩む妻に投げかけたという、優しい言葉の意味がわかったような気がしたのだ。

回路は変わった。スイッチバックだ。次の行き先は、まだ見えない。今度の回路は、どんな景色に触れながら進むことになるのだろう。

障害基礎年金がもたらしてくれたきっかけだった。

ひょっとすると、僕がそうであったようにその存在にさえ気付いていない人は多いのではないだろうか。

傷ついたまま回路を変えることもできず思い悩んでいる人の意識を転換させるだけの力は、障害基礎年金にはある。

健康が当たり前のように手許にある時から知っておくべき制度である。

                        ‥‥つづく

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

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