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使い切る!ということ

約30年前、ある夏の日こと。石津謙介さんから、「時間がある時に、ちょっと遊びに来ないかい?」という電話をいただいた。当時僕は、渋谷児童会館近く、ヴィラモデルナという一風変わったマンションの一室にカメラマンの寺崎氏と事務所を構えて1年目くらいだったと思う。やっとデスクも購入、床に寝そべって打ち合わせをしていてついつい寝入ってしまうというような状況からは脱していた。その日は、オープンして間もない青山の無印良品で購入したトレパンをアウターとして着用していたので若干失礼かとも思ったが、石津さんからのお電話である。おもしろそうな話に決まっていると思い、「今すぐでもよろしいでしょうか?」とお応えし、「いいの?じゃ、待ってるね」との言葉に、事務所を飛び出した。

強い日差しの中を歩いて約15分。石津事務所に到着すると、まずは目敏い石津さんが「それ、トレパン?」とおもしろがり、その日の下着にまで話が及んでいった。ふと目に入った石津さんの白のBDシャツの袖口がほつれているのが気になり、ついつい目線をむけていると、「これかい?気になる?」とニヤリ。「洗いざらしでいいですねえ」と話を逸らしたつもりだったが、ほつれていることについて、モノに関する哲学を披瀝された。

「このシャツは、すごく気に入っていてねえ。ほら、触ってごらん。海島綿なんだよ。本物だよ。ほつれたくらいで捨てるわけにはいかんだろ。ほつれているということは、質のいい品だという証みたいなもんだよ。誇りに思わないとね」。実に自慢げな笑みを浮かべながら、こうおっしゃった。無印良品のトレパンを普段着にしている僕をおもしろがった直後のことである。複雑な気分だった。

いいものを使い切る。食品に関しても、高くても品質のいいものを適量購入し、食べ切る。数年前からそう決めて暮らしている。洋服は、破れることが惨めなことではない。破れると価値がなくなること。そのようなものを身に着けていたこと。それが、惨めなことなのである。石津さんは、そう言っていたような気がする。もちろん、安いものを楽しむセンスとゆとりがあってのことである。

*暑い!うれしい!!この時期に歩き、手を使い、晩秋~梅春の後退期に備えるのだ!そう思う変温動物と化した脳出血後遺症男である。同期(同じ時期に発症した方々は、みな同期)のみなさんも、暑さにめげずに~~。

60sFACTORYプロデューサーKakky(柿本)

60sFACTORY活動日記は、こちら。

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