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新年、暮らしのリハビリの始まり‥‥。

別に特別な朝でもないのに‥‥と、子供の頃から疑問を抱えつつ、また新たな年の朝を迎えた。Kapparは、仕事の年明け。しかも、連日だ。区切りも何もあったものではない。しかし、だからこそなおさら、「今年は‥‥」などと、考えてみる。希望とか夢とか、前向きとか努力とか、年賀状に並ぶ種類の言葉は一切浮かばない。空虚な力みは、無意味な失望やとりとめのない喪失感をもたらす。それは、得ているものを超える欲望のために生じる不満の渦に巻き込まれていくNew Poorの心情に通じる。

目標は、高ければいいというものではない。

根拠と実体のない自信とプライドは、他人迷惑な自惚れに過ぎない。

自分の身体のことばかりに意識が向いてしまいがちなリハビリ入院を通じて、僕が一番強く感じたのは、自分自身をトータルに事実として認識しなければならない、ということだった。小さくか弱い生き物ほど分け合うことを知っているのは、ひょっとして自分を事実として知っているからかもしれない。

要するに、自分自身が弱くなればなるほど人を助けることに目を向けなくてはならない、と、僕は昨年考えていたわけだ。今年は、できることから動いてみる年かもしれない。それが、僕自身の“暮らしのリハビリ”になっていくのかもしれないだ。

で、まずは激励に。と、昨日(1月2日)、意を決して出発した。

第一の目的地は、青山。暮れのブログが気になってならなかった「ロンバルディ」へ。“三が日も営業しています宣言”をした古戸君の陣中見舞いだ。*この件は、60sFACTORY活動日記へ。

滞在時間5分で「ロンバルディ」を後にし、次の目的地「都立駒込病院」へと向かう。友人の建築士「西やん」が長期入院している病院である。

彼とは40歳の時、小田原の“山県有朋の元妾宅”「山水館」の改造プランを提案するという話で初めて現地でお昼に会い、そのまま翌朝まで飲み続けて以来のお付き合い。いくつか仕事も一緒にした友人で、お人よしでちょっととぼけたところのあるいい奴だ。

一昨年、僕のお見舞いに来てくれてからしばらく経って、喉頭ガンを発症したと聞いた。その後、本人から、手術をする、声帯に少し転移しているので、声帯を守り声を確保するために放射線治療を併用する、と、僕を気遣いながら、携帯にメールで報告があった。既に退院していた僕は、こちらからメールを入れていい環境にあるのかどうか、お見舞いを受ける心境にあるのかどうかなどが判定できず、共通の友人に調べてもらった。彼は「西やん」の奥さんとコンタクトを取り、メールをしていいタイミング、お見舞いに行ってもいい頃を教えてくれるようになった。

そして、ついに彼から月に一度程度はメールが来るようになっていた。その最初のメールが、放射線治療を受けるというもの。二度目は、その限界を知らせるもの。三度目は、手術で全摘になるので、声を失うことになるというもの。四度目は、「お前より先に大酒を飲めるようになれそうだぞ!」というもの。そして、五度目が術後に再度放射線治療を始めたというもの。そして、昨年末のメールは、「ここは、景色がいいぞ。富士山が見える。年末から正月にかけて外泊許可が出た。家で過ごす。しばらく入院しているから、顔を出さないか」というものだった。毎回冗談交じりの返信をしていた僕の心の奥に、会いに行かなければ、という強い意識が生まれた。

百貨店の初売り状況を見て回っていたKapparと溜池山王駅で待ち合わせ、本駒込へ。そこからたっぷり歩き、下着に汗を滲ませながら到着した。午後4時半になっていた。受付を済ませ、13階のナースステーションへ。大橋病院を思い出し、ちょっとだけ神妙な思いになる。Kapparが「西○さんの病室は?」と、確認する。ホワイトボード片手の「西やん」の笑顔が浮かぶようだ。‥‥。

「え?!」。という声に振り向く。「外泊ですよ~」。“知っとるわい。今日帰ってきているはずだわい。本人からメールもらってるもん!”と、僕は心で叫ぶ。「今夜8時ですね。病院に帰って来られるのは」。予定表を見ながら、ナースが微笑む。「みたいだねえ」。Kapparも微笑む。「下手こいた~~~」。僕の心の叫びが、変わる。‥‥。

というわけで、お見舞いツァーは長い長いリハビリ散歩に終わった。僕の今年は、こんなことを繰り返すのだろう。

飽きないことだ。続ける意志だ。  ‥‥と思わないとねえ。

60sFACTORYプロデューサーKAKKY(柿本)

60sFACTORY活動日記は、こちら。

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