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東京オリンピック、田舎を走る!ー①

中学3年間は、いつも余震に揺られているようだった。日本で、つまりほとんど東京で次々と起きる激震は、そのニュースがやってきてしばらく経つと、ささやかな余震波を田舎に送り込んできた。穏やかに大きな変化を見せないまま過ぎていく田舎の暮らしも、余震に小さく揺られているうちに、微かに変化を遂げていくようだった。

電化製品が次々と入り込んできて、一見大きく変わったように見える田舎の暮らし、生活文化。その実態は大きく変わることはなかったが、変化していくんだという意識、遅れてはならないという焦り、きっとよくなっていくんだという期待と希望は、変化へのエネルギーとなっていたようだ。ただ、どこへ向かうべきか、どこへ向かえばいいのか、はっきりと自覚している大人はいなかったように思う。「古い」「今は」「これからは」といった言葉が大人たちの口の端の上ることが多くなり、変化は盲目的な信仰の対象にさえなっていくようだった。やがて次第に「あんたも変わらんとなあ」とか「わしもこのままじゃあいけんけえ」とか「今はこれでええが、すぐに古うなるけえ、考えとかんとねえ」といった言葉が積極的な反省として語られる場面をよく目にするようになり、農作業や小さな商いの現場でさえ、変わっていこうとする動きが見られるようになった。

僕は、変化の実態がはっきり見えないまま「みんないい人たちだなあ」と、素朴な目で眺めていた。音楽の趣味はアメリカン・ポップスからリヴァプール・サウンドへ、ロックへと変わっていき、それが進化だと錯覚していた。東京志向はさして強くなかったが、実感もなく、事実として見たことも聞いたこともないことだらけの東京に強い興味はあった。

しかし、東京オリンピックの情報が氾濫し、聖火リレーが田舎の道を駆け抜けていくことになって、僕の中に小さな「アンチ東京」が芽生えていくのだった。

60sFACTORYプロデューサーKAKKY(柿本)

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