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本物とは?

見つからなくてちょっと焦り気味だったシアサッカーの生地見本を、谷さんがお持ちになられた。ライトブルーのストライプ。懐かしい感じさえしてしまう風合い。サンプルの上がりが楽しみだ。谷さんに、1950年代終盤から60年代初頭のVANのお話を伺う。そして、今後の相談も。本物という言葉・概念に隠れている嘘っぽさについて、かねがね気になっていたことをぶつけてみる。スペックで優れていても、愛着を感じないモノを僕は本物と呼びたくはない。かといって、自分の愛着を本物としたいとも思わない。本物は、いつも揺らいでいて、小さな欠陥を持ちながら、妙に愛嬌があるものなのかもしれない。厳しく屹立していて、人を寄せ付けない真実というものとは違うように思われる。自ら楽しみ、人も楽しませることができるもの。それを生み出そうとする努力こそ、本物にアプローチしようとすることなのかもしれない。谷さんに、ぼんやりとそんなことや、どこに企画の臍を見出せばいいのでしょう、といったことをお話した。

谷さんは、やさしい人だ。静かに僕のおしゃべりを聞いた後、「いいと思うものをきちんと真似ればいいんじゃない?」と繰り返し言われた。忘れてはいけない大切なことを励ましの言葉に代えて口にされたのだ。僕は、はっとした。同じ言葉を、ちょうど30年前、石津さんに言われていたのだ。谷さんは、バッグの中から、「資料に使えるかな、と思って持ってきたんだけど。別にいいかな?」と1枚のボタンダウンシャツを出された。1967年、VAN社員のアメリカ・ツァーの時にYALE大学のCO-OPで購入したというものだ。「これをVANのボタンダウンシャツの企画の参考にしたんだよね。一番最初は、GANTのシャツだったけどね」と、おっしゃった。「VANは、いいものを真似しただけなんだよ。ただし、徹底的にね。それでいいんだよ」石津さんの言葉が聞こえてくるようだった。僕は、改めて60sFACTORYスタートの時の思いを呼び起こしていた。「現場で参加していなかったモノ作りを、徹底的にトレースしたい」。それでいいんだ。

ほのぼのとした元気を残して谷さんがお帰りになったのと入れ替わりに、Mr.Hさん登場。30分後、代々木公園駅出口から逆に歩いて、夜のウォーキングをたっぷり楽しんだハゲアメリカーノさん到着。缶ビールを開け、今進行していること、穂積和夫グッズの企画等々をお話し、マドラスの生地見本をお見せして、参考意見をお聞きする。やはり、元気と激励をいただいて(マドラスは参考になりました)、11時半頃お別れした。ありがたい話である。

Photo

1967年、YALE大学CO-OPで購入したというサンプル。シャツの達人、ウィンスロップの社長にご覧に入れたところ、「当時だったら、実によくできたシャツですね。今のウチだったら、マシンと技術が進化しているので、普通にできてしまいますけどね」とおっしゃった。

           60sFACTORYプロデューサーKAKKY(カッキー柿本)

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