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隠密剣士の陰

島根県益田市横田と言えば、「純正の田舎」である。僕の知り合いで、CMプランナーをしていた女性は、ある日マックで並んでいると、外人に「アナタ、ガイジンですか?」と声をかけられた。彼女、色白でやや目が青い。外人には、ガイジンに見えるかもしれない。純正日本人の彼女は、「いいえ~。ど田舎(ドイナカ)の出身です」と、答えた。ちょっと過分に情報を与えたのがよくなかった。その外人「ドミニカですか~!ドミニカのどこですか?」と聞いてきた。ドミニカの場所も特定できないのに、ドミニカのどこ?って~!と不意を突かれた感じの彼女は、マックを買うことを諦めて、そそくさとその場を逃れたのだった。後日、その話で盛り上がっていたら、CMディレクターの男が、急に真顔で叫んだ。「俺、ドミニカの国歌、知ってるよ!」博識であるはずのない彼の言葉に、どう反応すべきかわからず、数名の飲み仲間は、一様に目をグラスに落とした。そこに、彼の歌声が響いた「ドミニ~カ、ニカ、ニカ。ド~ミニカ」!……。1秒待って、僕は言った「それ、ドミニクだろ?」……。今になって思う。言わなきゃよかった。

話が逸れた!要するに、島根県益田市横田は、ど田舎ではない。しかし、純正田舎というだけで、そこに育つ子供の文化度は、都会で育つ子供と数年は違う。いや、数年は違っていた時代だった。僕達は、中学生だというのに、「隠密剣士」が人気になると、忍者ゴッコなどに興じたりしていた。ブリキ屋さんにブリキの切れっぱしをもらい、母親が裁縫で使っている鋏で星型に切り、掌に重ねて乗せて、シュッ、シュッと言いながら横に投げ、飛ばない、刺さらない、でがっかりした上に、切れなくなった鋏を挟んで、長時間の説教を食らったりしていた。

中には、忍者を模して風呂敷で作った被り物をかぶったままお寺の屋根から落ちて骨折し、「馬鹿もの~!何してたんだ~?!」と教師に怒られ、「忍者ゴッコ」とか細い声で言って、なおさら怒られた馬鹿もいた。

そんなある秋の午後のことである。些細なことから、友達数名が二つに割れて喧嘩になったことがある。大瀬康一扮する隠密剣士が、入浴中に風魔一族の襲撃を受けるシーンの話が発端だった。「で、とんべえ(牧冬吉扮する善玉忍者)がいない時だったから、危なかったねえ」と、感情移入しながら話す奴に、ある一人が、「隠密剣士のチンチン見えたね」と言ったのがいけなかった。「テレビに写るわけが……」「ふんどし、してたよ」「……」「……」挙句に、「テレビに写るって、相当大き……」などというところまで飛び火していったのだ。最後は、誰々は信用できる、できない、そもそも嘘つき云々で、大騒ぎとなった次第である。

こんな中学2年生のグループ、1963年という時代であっても、東京には存在しなかったはずだ。

                   60s FACTORYプロデューサー、KAKKY(柿本)

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黒い秘密兵器

投稿: 椿林太郎 | 2007年3月12日 (月) 17時17分

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